CAE(Computer-Aided Engineering)は、様々な分野で幅広い応用があります。この章では、構造解析、伝熱解析、電磁界解析、および流体解析など、CAEの具体的な応用例と解析の種類について紹介します。
構造解析
構造解析は、物体や構造物の応力や変形を評価するためにCAEが使用される重要な分野です。以下に、構造解析の一部の解析の種類を紹介します。
- 静的解析: 物体や構造物が静止状態で受ける応力や変形を評価します。荷重や拘束条件などが与えられ、応力や変形の分布を解析します。
- 動的解析: 物体や構造物の動的な挙動を評価します。振動や衝撃などの外部力を受けた際の振動特性や耐久性を解析し、設計の最適化を図ります。
伝熱解析
伝熱解析は、物体やシステム内部での熱の伝達や熱応力を評価するためにCAEが使用される分野です。以下に、伝熱解析の一部の解析の種類を紹介します。
- 熱伝導解析: 物体やシステム内の熱の伝導挙動を解析します。熱の流れや温度分布を評価し、冷却設計や断熱材の最適化などに活用されます。
- 対流伝熱解析: 流体と物体間の熱伝達を解析します。流体の流れや熱輸送特性を評価し、熱交換器や冷却システムの設計改善に役立ちます。
電磁界解析
電磁界解析は、電気や磁気の挙動や特性を評価するためにCAEが使用される分野です。以下に、電磁界解析の一部の解析の種類を紹介します。
- 静電場解析: 静電場の分布や電場強度を解析します。電気デバイスの設計や絶縁体の評価などに応用されます。
- 磁界解析: 磁場の分布や磁力の評価を行います。電磁デバイスや電磁コイルの設計、磁性材料の特性評価などに活用されます。
流体解析
流体解析は、流体の挙動や特性を評価するためにCAEが使用される分野です。以下に、流体解析の一部の解析の種類を紹介します。
- 定常流体解析: 流体の定常状態での流れや圧力分布を解析します。流体力学的な特性や抵抗、流速プロファイルの評価に応用されます。
- 接触流体解析: 流体と物体の接触面や界面での流れや圧力の挙動を解析します。摩擦損失や流体の挙動に関連する熱伝導性などを評価します。
機構解析
機構解析は、機械やロボットなどの動作や挙動を評価するためのCAE手法です。機構解析では、CAD(Computer-Aided Design)モデルを使用して、物体や部品の動きをシミュレーションします。機構解析によって、機械の動作中に生じる応力、変形、摩擦、振動などを予測することができます。このような予測は、設計上の問題点の特定や改善のために役立ちます。
磁場解析
磁場解析は、電磁気学的な問題や磁気デバイスの設計において、磁場の分布や特性を解析するためのCAE手法です。磁場解析では、マグネットやコイルなどの磁気要素を含むモデルを作成し、電流や磁場の特性を計算します。磁場解析は、電磁誘導、電磁網羅、電磁干渉、電磁熱などの問題の解決に役立ちます。例えば、電動車両のモーターの性能評価や磁気デバイスの最適化に磁場解析が活用されます。
音響解析
音響解析は、音波や振動の伝播、騒音の発生や制御などを評価するためのCAE手法です。音響解析では、音響特性を持つモデルを作成し、音波や振動の伝播、反射、散乱などをシミュレーションします。音響解析は、建築物や車両、電子機器などの設計段階で騒音問題を予測し、効果的な騒音制御策を見つけるのに役立ちます。また、スピーカーやマイクロフォンの性能評価にも音響解析が活用されます。
まとめ
CAEは構造解析、伝熱解析、電磁界解析、および流体解析など多岐にわたる解析手法を提供しています。これらの手法は、製品やシステムの設計改善や問題解決に重要な役割を果たし、さまざまな産業分野での革新を支えているのです。
参考文献
もっと詳しく勉強したいあなたのために、わかりやすい参考書を紹介します。
図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 (KS理工学専門書)
有限要素法(CAE)を会社に入社してから触る人、初めてCAEを触る人にオススメの本。
一方で、熟練のCAE技術者には物足りないでしょう。
ブラックボックスであるCAEがどのような理屈で計算されているかがわかります。
計算の中身がわからない気持ち悪いという方も読んでみるといいですよ。
計算の手順が分かります。
図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 (KS理工学専門書)
計算力学(第2版):有限要素法の基礎
こちらも計算力学の計算手法を解説している参考書です。
CAEの計算手法を例題を用いて丁寧に解説しています。
ただこれは、CAEのコードよりの内容です。
そのため、「ソフトを使用して計算できればいい」という方には必要ないでしょう。
<解析塾秘伝>CAEを使いこなすために必要な基礎工学!
工学的知識を実践方法がわかります。
具体的な事例も交えているため、参考になる一冊です。
もしかしたら、あなたの悩んでいた事例も載っているかもしれません。
こちらも手元に残しておきたい一冊です。
強度検討のミスをなくす CAEのための材料力学
こちらも実践的な一冊です。
材料力学で学ぶ降伏応力やひずみを実製品でどのように適用すればよいのか
その考え方が学べます。
用語とかは覚えたけど、どんな使い分けすればいいのやどんな物理的意味なの
といった疑問を解決できます。読んで損はない一冊です。