技術系 材料力学

材料力学の基礎:断面二次モーメント

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断面ニ次モーメントは、材料の断面における応力やひずみの分布を解析し、構造物の強度や剛性を評価するための重要な指標です。この記事では、断面ニ次モーメントの定義、単位、理論式、求め方を詳しく説明し、具体的な例を挙げて計算手順を解説します。複雑な形状の断面に対する計算方法や、この指標が構造解析や材料力学にどのように適用されるのかについても触れます。

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断面ニ次モーメントの意味とは 

断面ニ次モーメントとは、構造物や材料の断面における応力やひずみの分布を解析するために用いられる指標です。断面ニ次モーメントを計算することで、構造物の強度や剛性を評価することができます。具体的な例を見ながら、その意味を詳しく説明していきましょう。

断面ニ次モーメントの定義と説明

断面ニ次モーメントは、断面積とその断面の軸に対する距離の関数として表されます。一般的に、構造物や材料の断面は二次元の形状を持ちます。断面積に加えて、断面の中心軸からの距離を考慮することで、断面ニ次モーメントを求めることができます。この断面ニ次モーメントは、構造物の応力やひずみの分布を理解する上で重要な役割を果たします。

断面ニ次モーメントの単位は?

断面ニ次モーメントの単位は、\([ m^4]\)となります。扱う系によって、mかmmかは異なります。

断面二次モーメントの理論式

断面二次モーメント(I)は、断面の形状に依存する値であり、以下の一般的な式で表されます:

\[ I = \int (y^2) \, dA \]

この式では、yは断面内の点Pの中心軸からの距離を表し、dAは微小な面積要素を示します。積分は、断面の全ての微小な面積要素に対して行われます。

具体的な形状の断面に応じて、上記の一般式を特定の積分領域と関数形状に適用する必要があります。これらの公式を用いて、特定の形状の断面に対して断面二次モーメントを計算することができます。

ただし、複雑な形状の断面の場合、解析的な式が存在しない場合もあります。そのような場合には、数値積分や近似手法を用いて断面二次モーメントを求めることが一般的です。数値解析ソフトウェアやCADツールなども利用することで、より複雑な形状の断面に対しても断面二次モーメントを計算することが可能です。

断面二次モーメントの求め方(途中計算式含む)

断面二次モーメントを求める手順は以下の通りです:

  1. 断面の形状に基づいて、微小な面積要素の座標(x, y)を設定します。
  2. 微小な面積要素の面積dAを求めます。
  3. 各微小な面積要素に対して、\(y^2 \cdot dA\)を計算します。
  4. 計算された値を積分します:

\[ I = \int (y^2) \, dA \]

具体的な例

例として、幅(b)が4 cm、高さ(h)が6 cmの矩形の断面二次モーメントを求めてみましょう。

計算手順は以下の通りです:

  1. 微小な面積要素の座標を(x, y)と設定します。
  2. 微小な面積要素の面積dAを求めます。矩形の場合、微小な面積要素の面積は定数であり、以下の式で表されます:

\[ dA = dx \cdot dy \]

  1. 各微小な面積要素に対して、\(y^2 \cdot dA\)を計算します。矩形の場合、yは定数であり、以下の式で表されます:

\[ y = \frac{h}{2} \]

  1. 計算された値を積分します:

\[ I = \int_{} y^2 \cdot dA \]

計算手順

具体的な例で計算手順を示します:

  1. 微小な面積要素の座標を(x, y)と設定します。
  2. 微小な面積要素の面積dAを計算します:

\[ dA = dx \cdot dy = dx \cdot (y \, dy) \]

  1. \(y^2 \cdot dA\)を計算します:

\[ y^2 \cdot dA = \left(\frac{h}{2}\right)^2 \cdot (dx \cdot (y \, dy)) = \frac{h^2}{4} \cdot (dx \cdot dy) \]

  1. 積分を実行します:

\[ I = \int_{} y^2 \cdot dA = \int_{} \frac{h^2}{4} \cdot (dx \cdot dy) \]

 

矩形の断面二次モーメントの定義

矩形の断面二次モーメント(I)は、以下の式で表されます:

\[ I = \frac{b \cdot h^3}{12} \]

ここで、bは矩形の底辺の長さ(幅)、hは矩形の高さを表します。

矩形の断面二次モーメントの求め方

矩形の断面二次モーメントを求める手順は以下の通りです:

  1. 矩形の底辺の長さ(幅)bと高さhを測定します。
  2. 求めた値を以下の式に代入して、断面二次モーメントを計算します:

\[ I = \frac{b \cdot h^3}{12} \]

具体的な例

例として、幅(b)が4 cm、高さ(h)が6 cmの矩形の断面二次モーメントを求めてみましょう。

代入して計算すると:

\[ I = \frac{4 \, \text{cm} \cdot (6 \, \text{cm})^3}{12} = 144 \, \text{cm}^4 \]

したがって、幅が4 cm、高さが6 cmの矩形の断面二次モーメントは144 cm^4となります。

 

矩形の断面二次モーメントの定義

矩形の断面二次モーメント(I)は、以下の式で表されます:

\[ I = \frac{b \cdot h^3}{12} \]

ここで、bは矩形の底辺の長さ(幅)、hは矩形の高さを表します。

矩形の断面二次モーメントの求め方(途中計算含む)

矩形の断面二次モーメントを求める手順は以下の通りです:

  1. 矩形の底辺の長さ(幅)bと高さhを測定します。
  2. 以下の式で断面の面積Aを計算します:

\[ A = b \cdot h \]

  1. 次に、以下の式で断面の中心軸からの距離yを求めます:

\[ y = \frac{h}{2} \]

  1. 最後に、断面二次モーメントIを以下の式で計算します:

\[ I = \frac{b \cdot h^3}{12} = \frac{b \cdot (h/2)^2 \cdot h}{12} = \frac{A \cdot (y^2)}{12} \]

具体的な例

例として、幅(b)が4 cm、高さ(h)が6 cmの矩形の断面二次モーメントを求めてみましょう。

計算手順は以下の通りです:

  1. 面積Aを計算します:

\[ A = 4 \, \text{cm} \cdot 6 \, \text{cm} = 24 \, \text{cm}^2 \]

  1. 中心軸からの距離yを計算します:

\[ y = \frac{6 \, \text{cm}}{2} = 3 \, \text{cm} \]

  1. 断面二次モーメントIを計算します:

\[ I = \frac{24 \, \text{cm}^2 \cdot (3 \, \text{cm})^2}{12} = 36 \, \text{cm}^4 \]

したがって、幅が4 cm、高さが6 cmの矩形の断面二次モーメントは36 cm^4となります。

断面二次モーメントの定義と理論式

断面二次モーメント(I)は、以下の理論式で表されます:

\[ I = \int (y^2) \, dA \]

ここで、yは断面内の点Pの中心軸からの距離を表し、dAは微小な面積要素を示します。積分は、断面の全ての微小な面積要素に対して行われます。

 断面ニ次モーメントの意味と重要性

 断面ニ次モーメントの意味と重要性について考えてみましょう。断面ニ次モーメントは、構造物の強度や剛性の評価に欠かせない要素です。断面ニ次モーメントを正確に計算し、解析することで、構造物の変形や破壊などの挙動を予測することができます。また、構造物の最適化や設計改善にも重要な情報を提供します。

まとめ

断面ニ次モーメントは、構造解析や材料力学において重要な指標です。その意味や計算方法について詳しく説明しました。断面ニ次モーメントは、構造物の強度や剛性の評価に欠かせない要素であり、構造物の挙動予測や設計改善にも貢献します。さまざまな応用範囲で活用される断面ニ次モーメントの理解は、材料力学や構造解析の分野での知識を深める上で重要です。

 

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  • この記事を書いた人

だるまる

製造業のものづくりエンジニア|計算力学技術者固体1・2級|CAEと材料力学を武器に製品開発を実施|自分の中でのCAEの使い方・勘所を書きます

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