技術系 材料力学

引張応力とひずみ:材料力学の基礎

*PR アフィリエイト広告を利用しています

「引張応力」と「ひずみ」は材料力学の基本的な概念であり、材料の特性や挙動を理解する上で重要です。引張応力は物体内部の力を表し、ひずみは物体の変形量を示します。本記事では、引張応力とひずみの基礎知識から関連性、計測方法、データ解析手法、さらに材料の引張応力-ひずみ特性について詳しく解説します。これらの知識は材料エンジニアや構造解析の専門家にとって重要であり、材料選択や製品開発において役立つ情報となるでしょう。

[toc]

引張応力の基礎知識

引張応力とは?

引張応力は、物体や材料に外部からの引っ張り力が加わった際に発生する内部の力のことです。物体が引っ張られることで、その内部の分子や結晶構造が引っ張られ、応力が生じます。引張応力は、物体内部の断面積に単位面積あたりの力を適用することで計算されます。

 

ひずみの概念と種類

ひずみとは?

ひずみは、物体が外部の力によって変形した際の変形量を表す物理量です。引張応力が物体内部の応力を表すのに対し、ひずみは物体の変形や伸び具合を表します。ひずみは通常、物体の初期の長さに対する変位や伸びを比較することで計算されます。

ひずみの種類

主なひずみの種類には、縦ひずみ、せん断ひずみ、体積ひずみなどがあります。

縦ひずみ

縦ひずみ(ε₁)は、変形前の長さ(L₀)に対する変形量(ΔL=L(変形後の長さ)-L₀(変形前の長さ))の比率として定義されます。

\(\varepsilon₁ = \frac{ΔL}{L₀}\)

 

せん断ひずみ

せん断ひずみ(γ)は、変形前の距離(d₀)に対する変形量(Δd=d(変形後の距離)-d₀(変形前の距離))の比率として定義されます。

\(\gamma = \frac{Δd}{d₀}\)

 

体積ひずみ

体積ひずみ(εᵥ)は、変形前の体積(V₀)に対する変形量(ΔV=V(変形後の体積)ーV₀(変形前の体積))の比率として定義されます。

\(\varepsilonᵥ = \frac{ΔV}{V₀}\)

 

応力とひずみの理論式

応力とひずみは、材料の挙動を数値化するための重要なパラメータです。応力は単位面積あたりの力を表し、ひずみは変形量を示します。これらのパラメータは、材料の強度や耐久性を評価する際に欠かせません。

弾性領域における応力とひずみの比例関係を示す理論式を次に示します。具体的には、以下の式で表されます。

σ = E · ε

ここで、σは応力、εはひずみを表し、Eは材料の弾性モジュラスです。この式は、弾性領域において応力とひずみが比例することを示しています。

一般的な応力とひずみの理論式は、材料の特性や挙動によって異なる形状を持ちます。また、非線形な挙動を示す材料においては、より複雑な関係式が用いられることもあります。しかし、基本的な理論式を用いることで、材料の応力とひずみの挙動を予測し、設計上の要件を満たすための材料選択を行うことが可能です。

応力とひずみの理論式は、材料力学や構造解析の分野で広く活用されています。正確な数値や関係式を用いて材料の性質を評価することで、安全性や信頼性の高い設計を実現することができます。

 

ひずみの分類と特徴

ひずみは、弾性ひずみと塑性ひずみに大別されます。

弾性ひずみ

物体が一時的に変形した後、外部の力がなくなると元の形状に戻る場合に生じるひずみです。物体が弾性範囲内で変形する場合、ひずみは引張応力に比例します。弾性ひずみは可逆的な変形です。

塑性ひずみ

物体が変形した後も外部の力がなくなっても元の形状に戻らない場合に生じるひずみです。物体が塑性範囲を超えて変形する場合、ひずみは引張応力に比例しなくなります。塑性ひずみは不可逆的な変形です。

 

引張応力とひずみの計測と解析

引張応力とひずみの計測方法

 引張応力とひずみを計測するためには、専用の計測器具を使用します。一般的な方法としては、引張試験機を使用して物体を引っ張り、応力とひずみを計測します。試験機は、荷重セルやひずみゲージを組み合わせて使用し、正確な計測を行います。

引張応力とひずみの測定器具

引張応力とひずみを測定するために使用される主な計測器具には、荷重セル、ひずみゲージ、変位計などがあります。荷重セルは物体にかかる引っ張り力を計測し、ひずみゲージは物体のひずみを計測します。変位計は物体の変位量を計測します。これらの計測器具を組み合わせて、引張応力とひずみの詳細な計測を行います。

引張応力とひずみのデータ解析手法

引張応力とひずみのデータ解析には、いくつかの手法があります。一般的な手法には、引張応力-ひずみ曲線の解析、材料特性の評価、弾性モジュラスや降伏点の算出などがあります。また、応力とひずみの変化をグラフ化し、物体の挙動を視覚的に理解することも重要です。応力解析ソフトウェアや数値シミュレーションツールを使用することで、より詳細な解析が可能です。

材料の引張応力とひずみ特性

材料の引張応力-ひずみ曲線

材料の引張応力-ひずみ曲線は、材料の強さや挙動を評価するために重要な情報を提供します。この曲線は、引張応力とひずみの関係を表したグラフです。一般的には、初期の線形な領域(弾性領域)、降伏点、極限引張強さなどの特徴的な点が存在します。曲線の形状や特性は材料の種類や加工方法によって異なります。

 

材料の引張応力とひずみ特性に影響を与える要素

材料の引張応力とひずみ特性には、いくつかの要素が影響を与えます。主な要素には以下があります:

  • 材料の組成や結晶構造
  • 材料の加工や熱処理
  • 応力速度や温度などの外部条件 これらの要素は材料の強度、延性、耐久性などに影響を与え、引張応力-ひずみ曲線の形状や特性を変化させます。

 

材料の引張応力とひずみの強度試験

材料の引張応力とひずみ特性を評価するために、引張強度試験が行われます。この試験では、材料のサンプルを引っ張りながら引張応力とひずみを計測します。引張強度試験は、材料の強度や伸び、断面縮小率、降伏点などの特性を評価するための基本的な試験方法です。試験結果は材料の品質管理や設計に重要な情報を提供します。

まとめ

引張応力とひずみは材料力学の基礎となる重要な概念です。引張応力は物体内部の力を表し、ひずみは物体の変形量を表します。これらのパラメータは、材料の特性や挙動を理解する上で不可欠です。引張応力とひずみの関係性や計測方法、データ解析手法を理解することで、材料の特性評価や設計に役立つ知識を得ることができます。また、材料の引張応力-ひずみ曲線や特性評価に関する情報は、材料の選択や製品開発において重要な指標となります。

 

 

材料力学 (JSMEテキストシリーズ)

材料力学を基礎から学びたい人むけの参考書。
練習問題を通して、材料力学の考え方を学べます。

JSMEは日本機械学会が
出版している本です。

どんな本がいいかわからない
という人は、最初に手に取ってみては
いかがでしょうか。

材料力学(JSMEテキストシリーズ)をAmazonで見てみる

 

材料力学 (機械系教科書シリーズ)

こちらも同じく材料力学を基礎から学びたい人むけの参考書。

大学の授業でも
教科書として使われています。

基礎から学ぶのには
便利な一冊です。

材料力学 (機械系教科書シリーズ)をAmazonで見てみる

材料強度学 (機械系 教科書シリーズ)

こちらは材料科学です。

はりの曲げや降伏応力といった
工学的観点ではなく、
材料の性質について学べます。

たとえば、
分散強化や固溶強化の材料が
強度が高い理由や、転移やすべりなど、のメカニズムを
理解できます。

強度設計よりも、
なぜ、この材料が強いのか?や
どんな材料を作れば強度が上がるかを
理解するのに役立つ本です。

材料強度学 (機械系 教科書シリーズ)

  • この記事を書いた人

だるまる

製造業のものづくりエンジニア|計算力学技術者固体1・2級|CAEと材料力学を武器に製品開発を実施|自分の中でのCAEの使い方・勘所を書きます

-技術系, 材料力学