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主応力とは何か?誰でもわかる初心者向け解説

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主応力とは何か?

聞かれてもパッと答えることが難しい方もいるのではないでしょうか。この記事では主応力の基礎的な内容や理論式、応用方法について紹介します。

また、主応力とミーゼス応力の使い分けを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【超初心者必見】主応力とミーゼス応力の使い分けを5分で超わかりやすく説明してみる。

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主応力とは何か?

主応力とは、物体内部の特定の点で最大または最小となる応力のことを指します。物体が外力によって変形されると、物体内部の各点に応力が発生し、それぞれの点での応力の大きさが異なります。主応力は、その中で最も大きな値または最も小さな値を表します。

主応力の計算

主応力を求めるためには、応力テンソルという行列を用います。応力テンソルは、物体内のある点での応力を表す行列であり、一般には以下のように表されます。

\[
\sigma = \begin{bmatrix}
\sigma_x & \tau_{xy} & \tau_{xz} \\
\tau_{yx} & \sigma_y & \tau_{yz} \\
\tau_{zx} & \tau_{zy} & \sigma_z \\
\end{bmatrix}
\]

ここで、\(\sigma_x\)、\(\sigma_y\)、\(\sigma_z\)はそれぞれx軸、y軸、z軸方向の応力成分を表し、\(\tau_{xy}\)、\(\tau_{xz}\)、\(\tau_{yx}\)、\(\tau_{yz}\)、\(\tau_{zx}\)、\(\tau_{zy}\)は剪断応力成分を表します。

主応力を求めるには、応力テンソルの固有値を求めます。固有値は以下の方程式を解くことで求めることができます。

\[
\begin{vmatrix}
\sigma_x - \lambda & \tau_{xy} & \tau_{xz} \\
\tau_{yx} & \sigma_y - \lambda & \tau_{yz} \\
\tau_{zx} & \tau_{zy} & \sigma_z - \lambda \\
\end{vmatrix} = 0
\]

ここで、\(\lambda\)は固有値を表します。上記の方程式を解くと、固有値 \(\lambda_1\)、\(\lambda_2\)、\(\lambda_3\)を得ることができます。

求めた固有値は主応力を表し、それぞれの主応力が発生する方向を示すための固有ベクトルも得ることができます。

 

最大主応力と最小主応力

最大主応力(maximum principal stress)、最小主応力(minimum principal stress)、および中間主応力(intermediate principal stress)は、以下の理論式を使用して計算されます。

最大主応力(\(\sigma_1\)\)の計算式:
\(\sigma_1 = \frac{\sigma_{xx} + \sigma_{yy}}{2} + \sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx} - \sigma_{yy}}{2}\right)^2 + \sigma_{xy}^2}\)

最小主応力(\(\sigma_2\)\)の計算式:
\(\sigma_2 = \frac{\sigma_{xx} + \sigma_{yy}}{2} - \sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx} - \sigma_{yy}}{2}\right)^2 + \sigma_{xy}^2}\)

中間主応力(\(\sigma_3\)\)はz方向の直応力(\(\sigma_{zz}\)\)と等しいので、
\(\sigma_3 = \sigma_{zz}\)

ここで、\(\sigma_{xx}\)、\(\sigma_{yy}\)は直応力(normal stresses)であり、\(\sigma_{xy}\)はせん断応力(shear stress)です。また、\(\sigma_{zz}\)はz方向の直応力です。

一般的に最大主応力は引張方向の力を示し最小主応力は圧縮方向の力を示します。

主応力の応用

主応力は、材料の破壊や変形の挙動を理解する上で重要な情報を提供します。材料の耐久性や安全性を評価するために主応力を考慮することがあります。また、CAE(Computer-Aided Engineering)解析においても主応力の知識は重要です。CAEでは、物体の応力状態を数値シミュレーションによって解析します。

主応力を理解することで、材料力学やCAEの基礎を学び、実務に応用することができます。材料の設計や解析において、主応力の概念を適切に活用することで、安全性や信頼性の高い製品を開発することができるでしょう。

まとめ

主応力は、物体内部の特定の点で最大または最小となる応力を表します。応力テンソルの固有値と固有ベクトルを求めることで主応力を計算することができます。主応力の理解は材料力学やCAE解析において重要であり、材料の設計や解析に応用することができます。

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  • この記事を書いた人

だるまる

製造業のものづくりエンジニア|計算力学技術者固体1・2級|CAEと材料力学を武器に製品開発を実施|自分の中でのCAEの使い方・勘所を書きます

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